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 私が生まれて初めて見た、いわゆる芸術品は「オーギュスト・ロダン」の「考える人」だ。中学生の時、家族と共に長崎の美術館へ観に行ったのだ。かなり昔のこのことを鮮明に覚えているのは、きっとそこに数えきれないほどの「考える人」があったからだろう。インターネット等無いその時代、私は勝手にそのブロンズ像ははるかヨーロッパの美術館に、たったひとつだけ有るもだと思い込んでいた。ロダンの亡き後、鋳造職人がこのブロンズ像を鋳造したのだという。だからこそ、日本の片田舎に住む平凡な中学生が、この素晴らしい芸術品に接することができたのだ。

 

 ロダン没後100年。日本の愛知県に「株式会社 名神精工」という金型会社がある。プラスチィック製品を作る基となる、金型を製作する会社だ。

 もし、ロダンが100年後のこの日本にいたら・・・。

 彼は愛知県のこの金型を製作する会社と契約していたかもしれない。そして日本の若者たちは、「接吻」をモチーフした「iphon 6」のケースを買い求めるのだ。そして、我が家には「考える人」のトイレ便座が存在するのだ。

 彼は「株式会社 名神精工」と契約することで、彼の作品の金型を手に入れることが出来、日本の人々は素晴らしい芸術作品を「iphon 6」のケースとして、トイレ便座として安価で手に入れられるのだ。

 

 想像するだけでもどきどきする。 

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